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サイバーセキュリティの哲学 〜21世紀の「安全」のフレームワーク〜(PDF: 2.3MB)
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緊迫する世界情勢に合わせるように、各種メディアでも目にする機会が増えた「サイバーセキュリティ」という言葉。しかし、個々の事例・手法などは取り上げられても、そもそも「サイバーセキュリティ」とは何か、その歴史や、それを扱う際の文法やコンセプト、構造が明確ではなく、根本的な理解と広い展望からの議論がこれまでなされていませんでした。
そこで、基本に立ち返って「サイバーセキュリティ」を問い直すため、哲学者の岡本裕一朗氏(玉川大学名誉教授)を講師に迎え、「サイバーセキュリティ」の領域、歴史、構造などを哲学の視点から紐解き、21世紀の「安全」のフレームワークについて検討を試みました。本冊子は、セキュリティ人材育成に関わる調査の一環として2023年2月1日〜3日(金)に行われたイベント "サイバーセキュリティの哲学 〜21世紀の「安全」のフレームワーク〜" における岡本氏への公開ヒアリングの内容を再構成したものです。
講師:岡本裕一朗
哲学・倫理学者。1954年生まれ、現在 は玉川大学名誉教授、専門は近現代の西洋哲学。「哲学は世界を見るため のメガネである」がモットー。伝統的な哲学理論だけでなく、社会の具体的な領域にも関心をもち、それらを架橋する作業に勤しむ。
ディレクター:若林恵
黒鳥社コンテンツ・ディレクター。平凡社『月刊太陽』編集部を経て2000 年にフリー編集者として独立。以後、雑誌、書籍、展覧会の図録などの編集を多数手がける。音楽ジャーナリストとしても活動。2012 年に『WIRED』日本版編集長就任、退任後の 2018 年に黒鳥社設立。
サイバーセキュリティの哲学 〜21世紀の「安全」のフレームワーク〜(PDF: 2.3MB)
はじめに
新たな戦争・新たな安全 若林恵
講義
サイバーセキュリティの哲学 岡本裕一朗
1 「情報」は「サイバー」ではない
1-1 情報はサイバーに取って代わられた
1-2 情報は性格概念、サイバーは形態概念
1-3 サイバーがフィジカルを侵食する
2 ”超限”化する戦争
2-1 「超限戦」という概念の転換
2-2 もはや戦争は政治の延長ではない
2-3 情報は戦争をどう変えたのか
2-4 プロパガンダも事実も区別できない
3 領土モデルから感染症モデルへ
3-1 サイバー空間に「領土」はない?
3-2 フーコーとペスト、ドゥルーズとCOVID-19
3-3 ポストモダンの問題点
4 セキュリティのもつ両義性
4-1 歴史の終わりと動物化する人間
4-2 ストア派・エピクロス派・デモクリトス
4-3 セキュリティはなぜ”爆発”した?
4-4 安心・安全は怠慢な人間を生む
4-5 セキュリティの権力が孕んでいるもの
5 サイバーセキュリティは可能か
5-1 5つのモデルから見えてくるもの
5-2 善悪二元論を超えて
5-3 犯罪・治安モデルは「壁」をつくる
5-4 自由管理型のテックユートピア
5-5 私たちは家畜なのか?
5-6 非生物的なサイバーセキュリティを求めて
企画:国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)/岡本裕一朗/黒鳥社制作:黒鳥社
CYNEXアライアンス事務局
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